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2018年11月26日月曜日

John Muir Trail ヒロム デグチ、マキの記録 ②いざ出発~Muir Trail Ranch

<前回までのあらすじ>
日本を出てから、山火事によりかなり長い移動を強いられた3人。夜行バス、野宿、野うんちを乗り越えついにパーミットを取得。JMTへの切符を得たのであった。さあここから怒濤のロングトレイル、始まる。

(ヒロム)
8/12 Day1 いざ出発
なんだかんだようやく到達したTuolumne Meadows、ついに念願のスタート。
初日はなんだか力が入ってしまって、4:50起床、6:00出発。
朝は寒かった。やっと出発できると思うと緊張とうれしさと混ざり合って騒いでしまう。
うるさい、と他のハイカーに注意されてしまう…ごめんなさい。
今日の行程はTuolumne MeadowsからCreeks Trail。約28km。
この頃はまだろくにキロ数の計算をしてなかった。単純にパンフレットに書いてある参考プランに従って目標を立てていた。甘かった。

壮絶にまずいフルグラスキムミルク。
これから毎朝これを食べ続けなきゃいけないという絶望のあまりこんな顔になる。
名物のハーフドームと写真を撮る


いっぱいいる鹿

ザックが重い
夜明けと共にスタートした3人、あの「アメリカ」に来て、あの「JMT」を歩いている!
そんな実感が体と心を満たしていく。今思えば何でも無い景色に過剰に感動してしまう。肩から腰を通って足にかかるザックの重みを感じながら一歩ずつ歩いて行く。

ふと道ばたの草木が揺れる。何かが動く。リスが木に登っていく。そんなことが1日に何度もある。標高を上げると、リスよりもマーモットが多くなった気がする。

"Stream" iPhoneで撮影
スタートからこんな道が16km続く


ソーラーパネル隊長

11時頃、日本人のおじさんに会う。釣り竿を持っていたので釣れるかどうか聞くと、この辺(Tuolumne Meadowsあたり)が一番型も良いしたくさん釣れると教えてくれた。そんなこと言われてしまったら釣るしかない。というか平坦な道が長すぎてちょっと飽きてた。

つれた!


締めてエラを出しておく




計6匹くらい
釣れると思ってなかった。ルアー(スプーン)を投げればいくらでも釣れる。フライフィッシングの人がほとんどだからスプーンが珍しいのか、単純に釣り人が少ないのか分からないけど良く釣れる。おもしろい。ビニールで包んでODガベッジバックに入れて保管。夕飯確保。

1時間ほど釣りをした後、また歩き出した。それにしても着かない。
イメージでは15時頃到着して湖畔を眺めながらテントのそばで本を読むつもりだったのに。全然着かない。ほんでさっきから雲行きが怪しくなってきた。不安。


不安要素がもう一つ、釣りしてた時からうすうすお腹に違和感を感じていたのだが、それを隠していた僕。どうもお腹が痛い。お腹の調子が悪い。ついにこの時になって耐えきれずに宣言する。

「エマージェンシーでーす」(ぼくらのうんちコール)
そう言ってうんち担当のデグチからエマージェンシーキット(スコップとトイペ)をもらった。トレイルから40m、水辺から40m そうレンジャーに教えられたように、のぐそスポットを探す。ほんとはスコップで8インチ(20センチ)程度土を掘らなければいけないのだが、探しているうちに漏れそうになったのでテキトーな場所で腰を下ろした。下痢だった。JMT初日で下痢をするこの絶望感がわかるだろうか。これから約20日ロングトレイルは続くというのに、初日で下痢、そして微妙に熱っぽい体、何かの病気なのか風邪なのか分からないがとにかく不安だった。1時間毎にエマージェンシーコールをし、僕はうんちをした。




トラブルがもう一つあった。
歩き出して早々に、デグチのチェストハーネスが壊れたのだ。ザックの重さに耐えられなかったのだろう。チェストハーネスが壊れると歩く度にザックが揺れてしまい、その分疲れる。そして肩への負担も大きくなる。これは相当なトラブルだった。
やむなく僕のスペアの靴紐で代用した。


初日にして壊れたデグチのチェストハーネス


昼になった。
ごはんにはソイジョイを食べる。これがまた壮絶においしくない。口の中がもっさもさ、そしてあの独特な香りが鼻に抜けると鼻に抜けるとえずいてしまう。(僕だけかもしれない。デグチはおいしそうに食べる。)JMTではソイジョイを196本ばかり持って行ったのだが失敗だったなぁと初日にして後悔した。長期企画の際は食事について事前にテスト食事会をすることをおすすめする。お昼ご飯ソイジョイ5本はキツい。どうして気づかなかった。

5本目のソイジョイをかじっているとき、雨粒が体に当たり、同時に遠くの方で雷鳴が聞こえた。え?雷鳴? 
信じられなかった。晴天率95%って聞いてたのに…
しかもこれからパス越え。(パスとは日本で言う山の鞍部のこと。JMTはピークハントは最後のMt.Whitney一回のみで他は全て鞍部を乗り越えていく。)
これから一気に標高があがるのに、この天気はやばい。


雲行きが怪しい、右奥のDonohue Passを超える

不安を抱えながらも標高を上げていく。
3人の士気が一気に下がる。
木もまばらになってきた時、雷雨が強くなってきて停滞を決めた。

デグチ(左)とマキ(右)

しょぼん


雨が強くなってきたからフライシートをかぶる
真ん中のがデグチのマキの入ったフライシート
この時は30分ほど停滞した所で雨はやみ、雷もあまり聞こえなくなった。
初日で雨がふったことに動揺しながら進む。14時。この日の行程はまだ2/3ほどしか消化できてない。なんとかテンションを上げて踏ん張る。



しかしパスに近づくと同時に天気も回復し、景色も良くなり次第に気分も良くなっていく。日本のガレより遙かにでかい軽自動車クラスの岩がごろごろ崩れている斜面や広く広がるカールに圧倒される。すごい。やっぱりアメリカだ。。。



この時はカラ元気

これで3000mくらい、奥に見えるガレ場は壮大

100mほどルートミスしたとき

本当にガレ場がでかい

Passまでもうちょい

きびしい

男らしい

Passの登りが辛い。
デグチのテンションが上がる。
デグチは辛いとテンションが上がる。
ほんとか?
マキは自分の荷物の重さにつぶされそうになりながら歩いている。


やっとPass

頑張った

マキ

うれしそう

実際見たときのスケールはほんとでかかった

おつかれさま

うれしかったんだね

Passの上で電波が少しだけ入ったので日本と連絡を取る。
この時が最後の連絡となってしまった。
ごめんなさい。



反対側、ここを下っていく

日が沈む

マーモット

ザック下ろすとまた背負うのがめんどくさいから下ろさない
がんばって途中まで降りたものの、日も暮れてきたのとめちゃめちゃ疲れたってことで目的地に到達いてないけどテントを張った。それでも25.5km。計画に無理があったとしか思えない。計画したのおれだけど。



ブラウントラウトを焼く

おいしかった 

くったくたになりながらテントを張り、水を浄水し、ご飯を炊き、魚を焼いて食べた。
ご飯はめちゃめちゃおいしかった。疲れすぎて無言で食べたけど。
食べ終わったらベアキャニスターをテントから離れた場所に置いて、
歯磨きをしながら空を見上げると満天の星空。流れ星が天の川を横切る。空気が澄んでるし、月も明るくないし、周りには誰もいない。
皿も洗わずに20:00就寝。


8/13 Day2
6:10起床、9:00出発。
朝食のフルグラスキムミルクがまずすぎる。食べるのに時間を費やしてしまった。まずすぎてマキは僕の目を盗んでフルグラスキムミルクを捨てていた。ちゃんと食べなきゃ歩けないぞ。そしてお世話になったピートとマイクに別れを言い、出発。
今日の予定はRosalie Lake。

お世話になった先輩ハイカー、PeteとMike
誰もいないっていったけどPeteとMikeはいた

このPeteとMike、Tuolumne Meadowsへの行き方を教えてくれたり、ロングトレイルのアドバイスをくれたりと何度もお世話になった先輩ハイカーなのだ。僕たちより1日早くスタートしていた。この年になっても2人でJMTを歩くほど仲良いのはすごい。いいな。

2日目もどんどん歩く。
1日目の筋肉痛とフルグラスキムミルクの吐き気を感じながら。


渡渉

まだ天気が良い

そしてまた昼頃、雲行きが怪しくなってくる。
またかぁ…
1日目の経験からフライシート、レインを準備する。
雨が降り出す。雷の音も近づいてくる。
やっぱり。。。
雨脚は止まない。それどころかどんどん強くなってくる。
どんどん強くなって、霰に、最後には雹になった。
フライシート越しに氷の塊が体を打つ。
雹が土をたたく音と雷鳴が騒音のように3人を囲む。

ここでデグチがメンブレ宣言をする。(メンタルがブレイク、精神崩壊状態のこと)
「メンブレやぁ」


両手を広げてフライシートの空間を広げる。
1時間ほど嵐は続いた。



またこんな感じ

雪のように雹が積もっている

積もった
白くなった道

出発の準備

寝袋が濡れちゃったデグチ

デグチの準備待ちにいらいらするマキ

深い水たまりに雹が浮いている

2日目でこの天気は辛かった。


景色は良い

thousand island lake

雨にも負けずどんどん歩く。
昨日の遅れを取り戻すために巻きで歩きたかったが、雨とまずい昼食により足止めを食らってしまった。うまくいかないものだ。
僕は引き続き下痢をしていた。
マキは足裏の靴擦れをしている。感覚がないとか言い出した。
デグチは嵐によるメンブレから回復してない。
そんなこと気にしない。
どんどんあるく。



天気も隊の雰囲気もパッとしない

景色だけは勇気づけてくれる

日暮れと同時にテントを張る。
またしてもタイムアップ。
行程をこなせない不完全燃焼感と
昼になるとぐずつく天気、
壮絶にまずい朝ご飯と昼ご飯、
雨に濡れた不快感、
各自抱える体の不調、
そしてこの状態がずっと続くのかと思うと、JMTを歩ききる自信がなくなった。
今まで登山してきて体力面でも精神面でもここまで困窮したことはなかったと思う。
なにより隊の雰囲気が重いのが一番のストレスだった。
なんとかして楽しく歩きたいのに、2人を元気づける気力もなかなか沸いてこない。
そんなもやもやした気持ちを抱えながら寝袋に入った。




8/14 Day3

5:00起床 7:00発
若さだけが取り柄なのか分からないけど、寝ると回復する。
よし、今日もがんばるぞ!
そんな思いをフルグラスキムミルクに打ち砕かれながら朝日を浴びる。
朝は寒いけど、頑張って起きた。この時はまだ。
予定ではこの日、Reds Meadowsにある山小屋に着くことになっている。
そうすればコーラも飲めるし、ポテチも食べれる。
温泉に入れるって情報もあるし、ハンバーグを食べれるCafeがあるようだ。
2泊山中で暮らしただけで分明に触れたくなるこの気持ち、探検部なら分かるであろう。
今後15泊以上するのにたったの2泊で根を上げていたこの頃の僕らは甘かった。



日当たりの良いところで干す

つかれてるフリ

スケールがすごい、写真じゃわかんないけど

マキは疲れるとしおれる

でっかい松ぼっくり

渡渉は1日10回以上

この日やっと、行程目標を到達できた。
それも15時に目的地到着。
ほんとパンフレットの行程モデルが狂ってる。均等にしてくれ。
そんなこと考えながら山小屋に駆け込む。
嬉しすぎて写真が残ってない。残念。
テラスのテーブルに座ってポテチとコーラを法外な値段でぼったくられながら飲んでいると、バスが止まった。
「Mammoth Lakes」
え。。。。
「Mammoth Lakes」とは、Tuolumne Meadowsに来る前に一度経由したリゾート街である。山の近くにある。日本で言う白馬村といったところだ。
それも往復3人で24$でいけると聞いたもんだからポテチを食いながら揃って飛び乗ってしまった。こういうときの団結力だけは強い。

一つ付け加えておきたいのだが、JMTルールではコースを外れても24時間以内にコースに戻ってくればそれはJMTスルーハイクとして認められる。だれが定めたルール下は知らんけど。


マンモス

Mammoth Lakesでは肉を買って店先のテーブルで焼いて食べたり、
マキが買ったパパイヤにしゃぶりついたりした。
そしてTuolumne Meadowsに来る前日と同じ場所で野宿して翌朝またJMTに戻ったのだった。ああ、ずっと分明に触れていたい。。。


8/15-19 Day4-Day8

ここからは淡々と日々が過ぎていった。
結局この日以降雨は一度も降らなかったし、極度に疲れることもなくなった。
もちろん1日1日のなかでいろんなことがあるけど、記憶の中では薄くなっていく。
だからここからは単発的に書いていく。


Reds Meadowsへ行く最中、放心状態のデグチ

カメラを向けるとにやけてしまう

彼女に連絡取れなくて怒られてるマキ

そして3人の思いとは裏腹にバスは早々にReds Meadowへと着いた。
再出発だ。


昔の山火事で焼けた跡、だと思ってる

ずっと奥まで見える

景色だけはいつ見てもすごい

この日から雨には降られなかった

日本とは雰囲気が違う、


JMTはいくつもの国立公園をまたぐ
これはシエラ森林国立公園

8/17 Day6 Vermillion Valley Resort(VVR)へ

VVRとはハイカー向けのリゾートだ。
JMTは大きく分けて2種類の歩き方がある。
1つはJMTをいっぺんに全て歩くスルーハイクという歩き方。
1つは区間ごとに歩くセクションハイクという歩き方である。

実はJMTを歩いているほとんどのハイカーがセクションハイクなのだ。
そして中にはハイキングではなくて山中でキャンプを楽しむ人達もいる。
そういう人たち向けにVVRというリゾートがあるのだ。
リゾートと言ってもちょっとした山小屋みたいなものなのだが、ここではハンバーガーが食べれるのだ。それがめちゃめちゃおいしかった。
そしてシャワーを浴びることができる。これも嬉しかった。お湯で体を洗える幸せをこれほどまでに実感することは今後ないだろう。


VVRまでは船で行く


そしてまた戻ってJMT。



毎日の浄水。

アメリカのレンジャー(国立公園で働いている人たち)は口うるさく
浄水器をつかえ浄水器をつかえって言ってくる。
最初は律儀に守って浄水器を使っていた。
しかし浄水はとても力の要る作業で、1日中あるいて疲れが溜まってお腹がすいている時に30分もかけて3人分の水を浄水するのは本当に骨が折れる。

そしてついに浄水器が壊れたことを良いことに僕らは水を直飲みし始めた。
これにより節約できた30分はとても大きかった。

そしてこの頃から下痢が治った。スキムミルクになれたのか、フルグラとスキムミルクを混ぜるのをやめたのが功を奏したのかわからないが、一つ大きなストレスが減った。

マキは足裏が靴擦れのようになっていて皮がベロンベロンだ。小指に至っては皮が二重になっている。デグチは疲れが溜まるとで足首が痛むようだ。かわいそうに。



休憩タイム

Pass越えの度にこんな絶景が待っている

日に日に汚れていくデグチ

天然のトラウト





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さて前回の出口はかなりテンションが低かったがここからどうなっていくだろう




8月12日出発
まぁやっと出発という嬉しさもあり早起きできた。僕らなりに素早く静かに支度をした。

行く前にトイレに行くことにした。なんか他のキャンプ場利用者が話してきたので
「Good morning」って言ってやった。そのあとなんかいろいろ言ってきたがよー分からんかった。ゆっくりしゃべろよ。マキ曰く「朝うるせぇんじゃぼけなす共が!」って激怒してたらしい。言葉がわからなければ別になんも感じない。まぁごめん。

眼鏡をかけるとひどい顔になるそうなので

にしてもおっもいおっもい!!!!激しく重い。
それでも最初はてくてくと調子よく歩いて行けた。
早速アメリカン。いいね。


写真撮りまくり。こんなペースで良いのかと思いながらも撮った。
テンションが上がっていく僕。


途中釣りをしだした。正直時間大丈夫か?と思ったが自分の企画じゃないとそこは甘くなっちゃう。休憩したかったし。

しかしだ、歩いても歩いてもたどり着かない。あぁ。。しんどい。ザック壊れた。。
最悪。持ちづらい。大夢さんの助けで若干耐えた。。。
にしてもこの日25.5km。。。
JMTにおいて一番きつかったのはこの日かもしれない。
唯一予定地にたどり着かなかった日ではないだろうか。
雨は降らないはずのこの地で雷雨に見舞われた。萎える。
帰りたい。まだ引き返せば間に合う。バスでホイットニーに行こう。ぼくが企画者ならそうしていたかもしれない。
そういえば、裸の若い女性三人組とすれ違った。
興奮しなかった。それほど疲れていたのである。むしろ負けた気分だ。

にしてもマキは死にそうだった。最後まで無理だろうなぁと思った。


そして死ぬように夜ご飯をつくり寝た。
JETBOILは壊れた。


夜、トイレに起きたら満天の空だった。君の声が響いてもいいようなきれいな夜だった。
熊怖い。

なんかつらつらと思い出しながらその日の僕の思いを書いている。読みづらくてごめん。
これからもごめん。
8月13日 DAY2

おはよう。筋肉痛。というわけではないが疲労は確実に残っている。
うへぇぇ。。。。出発や。とりあえず半分までは行こう。半分までは我慢しよう。

それしかない。ここまでキツイ山行は初めてである。
そしてこの日。出口の代名詞「メンブレ」が生まれる事態が起こる。


雹、


である。動画を見返してみたが非常に情けない。
「ほんといやっす、まじでこえぇ。。もぉーーー」
と弱音を吐きまくっている。今見返すと恥ずかしいばかりだがそれほどまでに
一時間の悪天候、間近に感じる死は精神を揺さぶってくるのであった。
出口の山人生TOP3に入る恐怖体験だった。




寝袋。着替えはびしょ濡れ。二日目にしてメンタルはブレイクしたのである。




滑るんだなぁ。 でぐを
宇宙飛行士見たいな形。


すべてものをテン場に干してこの日は終わり。疲れた。

昨日今日と日記を書く元気さえ残ってなかった。

8月14日DAY3
干した。いろいろ。そしたらテン場に靴下忘れた。綺麗な、着替えの、靴下を。
萎えた。あぁ。なんてことだ。あぁ。特筆する点はない。
靴下メンブレしただけだ。
8月15日DAY4

大夢さんが引っ張ってくれなかったら途中でやめてただろうなぁ。
この日もほんとうに特筆することなく景色を楽しんだ。良い登山である。



8月16日DAY5
湖。綺麗なんだぜ。

この日予定よりちょっと巻くことになってしまった。何故か?
明日のVVRに行くためである。。。
僕は嫌だった。疲れるし、そんなコーラ欲ないし計画通り行きたかった。自然を楽しみながらのんびりと。(計画通りでもそんなのんびりできるわけではないけど)
何がいやって今日頑張って巻いても明日まる一日休む分あさって頑張んないといけないこと。まぁ企画者は絶対やと自分に言い聞かせた。
まぁ次の日オフということで夜のテント内の会話は弾んだ。録音してあるやつ聞きたいなぁ。大夢さん?



8月17日DAY6
妥協
腹いっぱいで苦しむ。はぁ。妥協このために昨日巻いたのかぁ。と思うと。

ってかご飯めっちゃうまかったあぁぁぁぁぁんきてよかったぁぁぁぁぁぁん‼‼‼
VVRさいこぉぉぉおぉっぉおぉおう‼‼‼

8月18日DAY7
一週間が経った。VVR明け。キツイが、頑張ろう。うん。寝起きいきなり600mUPだっけ?しぬかと思ったわまじで。しぬ。きつかったぁ。
しかしこの日は僕がJMTで一番お気に入りの場所を通過する人なった
ここ
大好き。とてもきれいだった。一日頑張って最後の登りを登りきって振り返るとこれ。
幸せ。JMTこれからも頑張ろうってなった。ご機嫌。

8月19日DAY8
ついに半分まできた。補給地。。。
荷物が増えると思うと苦でしかないが。。。

にしてもマキ荷物おおすぎな。もはや出口より余裕で体力あるからな君。
無理だろうなぁとか思ってごめん。俺の方がむりやったわ。
大夢さんもベアキャニスター二個持ってるしすごい。みんな体力あるなぁこん畜生

しかし半分まで来たんだ。もう最後まで歩ききってやるわ。
ここからの道のりの方がむしろきついのだが何とかなるだろ。しらんけど。






真生です。二人に続いて書いていきます。
けっこう重複するから最後の人って書きにくい。 (←散々ブログ放置した自分のせい)

8月12日
起きる。テント内狭いし、結露すごいし、外出たら寒いし、朝からしんどい。
さあ、朝飯だ。フルグラとスキムミルクが朝飯なのだが、ここで悲劇が起こる。
実はフルグラとスキムミルク、混ぜるととんでもない劇物と化すのだ。

新手の飯テロにより三人は揃いも揃って下痢になった。
朝飯でエネルギーを得るどころか、食べ切るのにすごくエネルギーを使った。

朝飯という激戦を終え、大夢さんのトイレを待っていると190㎝ぐらいのハイカーが来た。
"You guys are too noisy!! Respect!! What you guys are thinking!? If you're gonna do that again, I'm gonna kick your fuckin' ass!!"
そう、朝僕たちがうるさかったのでぶちぎれているのだ。
こっちとしては平謝りしかできることはない。


謝りを入れ、気を取り直して出発!

(ハァンバァァァァァグ!!!)


最初の方は高低差があまりない。
川で魚釣りしたり、大夢さんが川に飛び込んだり、いろいろしながらも歩き続ける。
しかし、かなりのペースで歩いても、目的地には全然つかない。
そりゃそう。25kmも行程があるのだ。

荷物重い。しんどい。100mアップを何回も繰り返し、ドナヒューパスを超える。
そういえば全裸の女の子集団もおったなあ。
可愛かった気がするけど、襲いかかる以前に興奮するだけの気力すら残ってなかった。

パスを超えて、陽はかなり傾いてた。
お互いを大声で呼び合い、どちらが迷子かわからんおじさん二人組を発見した。
リノのバス待合室で会ったマイクとピートである。二人の先行きが不安だ。

再会もできたとこで、同じ所で野営する。
焚火で魚を焼いた。生焼けでしたね、すいません、大夢さん。
この日も満点の星空だった。流れ星も5個ぐらい見た。
冗談抜きで、人生で最高の夜空やった。

8月13日
体がスキムミルクフルグラに拒否反応を示す。
フルグラを埋葬する。
そこまでまずないやろと思う人、試してみるといい。
ゲロ袋をお忘れなく。

この日の最大の出来事は昼立ち。
パスを超えようとしていると、雷雨に見舞われた。
途中から雨は雹に変わっていった。
フライシートを被り、凌ぐ。
何の根拠も無いのに、雷に打たれない確信が自分の中にあって、怖いというより天気へのムカつきが大きかった。

雹降りすぎてもはや雪山。

隣の出口が「ああぁ~、もうほんとにやだぁ~」と繰り返すのが、途中から精神疾患の症状に見えて、こっちが逆に怖かった。
二日目にして三人の士気はガタ下がりしていた。

やる気がほぼ0になったので、税関を突破した最終必殺秘密兵器を出す。
豚肉の缶詰だ。
(山の中で飢餓状態になることを予期して1㎏ぐらい缶詰を持って行っていた。)
脂の量が尋常ではなく吐き気を催し、逆効果。

気分は奈落の底へ。


8月14日
この日の目的地はレッズメドウ。
地図には売店もあるし、ホットスプリングもある。もしかすると温泉にはいれるかもと期待に胸を膨らませ、出発。
昼飯のパスタを食べていると昼立ちに襲われる。大雨。
もうほんまに何なん。カリフォルニアで干害とか絶対フェイクニュースやん。

重い足を引きずりながら、何とかレッズメドウに着く。
コーラは飲めたが、ホットスプリングは閉まっていた。
まあ、しゃあないかと思っていると、「それ」はやって来た。
下町のマンモスレイク行きのバスだ。

もとより途中離脱&帰国肯定派だった僕と出口の目がギラつく。
あとは大夢さんのみ。大夢さんもあっさり承諾。
全会一致でバスに乗り込む。

嬉しさを顔で表現しきれず、思わずソーラーパネルを広げてしまう。


バスに乗り、元気100%になった僕たちはマンモスレイクに降り、スーパーに駆け込む。
各々金に物言わせ欲望の開放を行う。

アメリカサイズの酒。
探検部の酒豪たちに持って帰りたかった。

メキシコ人の店員ホセが「お前は俺のhermano(兄弟)だ」
といい安くしてくれたステーキ肉。うまいのなんの。


またもや家具屋さんの前で野宿。
もうJMTに戻りたくないなあと思いながら寝る。

8月15日
マンモスレイクからレッズメドウにバスで戻り、再び出発。

「人生 迷ったとき」とかのサイトにイラストで載ってそうな看板。
ゴールのホイットニーまで165マイル!


今のプロフィール画像よりこっちの方がカッコいいですよ、大夢さん 笑

この日が正直かなり疲れた。
目的地までの遠さにイラついてきて、歩き続ける。
熱中症だろうか。頭痛、吐き気、酸素不足に苦しめられる。
ああ、これは死んでまうと思った僕は親族や学科、探検部の人のことを思い出していた。

地球の大きさを感じる。

ところが、途中から元気になり、目的地のパープルレイクという湖に着く。
晩飯のビーフシチューが美味かった。ビーフシチューとご飯というミスマッチに気づかないほど疲れていたのだ。

そして、パープルレイクは紫では無かった。


8月16日
このあたりから3人とも8時起床の生活に切り替わっていた。(当初は6時起床)
理由はシンプル。起きたい人間が一人もいないのだ。
だから僕らが豚のように寝ている間に、前日の行程で追い抜いた人に追い抜かれることがざらになっていた。

この日も唸りながら起きて、VVRというリゾート行きのフェリー乗り場を目指す。
ひたすらコーラのあるVVRめがけて突進する。
出口のスピードが速かった。いや、こっちのスピードが落ちたのか。

途中からこの日のVVR行きは断念し、できるだけフェリー乗り場に近づく作戦に変更。
晩飯を食べ、テントに入る。明日はVVRというパラダイスに行けるウキウキで話過ぎた。
だんだんテントでの笑いのレベルが低くなっていく。

ちなみに3人の談話録を聞きたい方は大夢さんまで。
レベルの低さに開いた口が塞がらないこと間違いなし。

8月17日
こういう日だけは目覚めが良く、VVR行きのフェリー乗り場へ行く。
箱型のフェリーに揺られ、湖を渡りVVRに着く。

シャワーがどうだのWi-Fiがこうだの説明を受けるも、真っ先にカフェに直行して朝飯を食べる。ボリュームもアメリカンで普通の日本人なら気分の悪くなる量だが、栄養不足のせいで胃袋が広がっていた僕たちに平らげられない皿などない。
一瞬で朝飯を胃袋に沈め、シャワーや洗濯をする。
昼飯はハンバーガー。
これもすごい量だった。フライドポテトがごつい。マクドのポテト8本分ぐらいの太さのが大量に盛られている。

食べれるだけ食べ、飲めるだけ飲み、ゆっくりする。
本来休暇とはこうあるべきなのかもしれない。

そうっすか。


幸せな時間は長く続かず、夕方にはフェリーで再びJMTに戻る。
少し進んだところでテントを張る。明日からの行程に備える。

8月18日
5時半起床予定。7時半起床。
普段なら1限絶起どころか2限も危うい時間だ。
昨日の飯と寝坊が効いたのかあまり疲労が来ない。
夕方にはパスを越える。
目を見張る絶景だったので集合写真を撮る。
3人の間の距離や僕の猫背で5回ぐらい撮り直す。
いい景色の場所に陣取り、テントを張る。

湖面に星が移るのを期待したが、強風&満月に阻まれる。


晩飯はエビ塩味のパスタ。
パスタの味は3種類あった。ネギ塩、明太子、そしてエビ塩だ。
この中で最もタチの悪いのがエビ塩で、強烈なエビ臭さで運ぶ者のザックに容赦なくマーキングをするのだ。
おかげさまで僕のザックは酷い匂いになっていた。
そんな凶悪犯を食した。意外と美味しい。
腹を満たして寝る。

8月19日
明け方から動物の鳴き声が止まない。
朝起きて、外に出ると僕らの食器洗浄用のバケツで野ネズミが溺死していた。
埋葬して出発する。
が、すぐに釣りを始める。グッドサイズのニジマスが釣れた。
昼飯に食べようと締めて、連れていく。

昼前、ミューア・トレイル・ランチに着く。
ここで日本から送っていた荷物を受け取る。
開ける。大量のソイジョイとフルグラと目が合う。
クリスマスプレゼントの箱に雑巾が入っていた時のような気持になる。
他のハイカーが置いていった食料の入った箱を漁る。

もとより優柔不断でアメリカンフード好きな僕に過重量という概念は無くなり、手あたり次第に食料をザックにぶち込んだ。
ザックが100Lあり、どんどん入ってしまうので止まらないのだ。
ビーフジャーキー、バッファロージャーキー、オートミール、ドライフルーツ、チョコバー、ベーグル、トルティーリャ、ビール...

計量器にザックを乗せるとメモリは80ポンドを指した。37kg。
これはヤバいとは思ったが、飢餓状態になるぐらいなら...と思い37kg担いでいくことにする。
ここで、僕が過重量で動けなくなることを恐れた大夢さんと、飢餓状態を恐れた僕がプチ衝突を起こす。
過去の失敗から山には余るほど食料を持って行くようにしており、飢餓状態がトラウマになっていたので、どうしても食料が手放せなかった。

この日も目的地まで進み、野営。
明日からの行程と更なる衝突を危惧しながら寝る。

次回最終回!
~③Muir Trail Ranch - Mt.Whitney~
『奈落の果て・登頂』

お楽しみに!